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「マイウェイ 12000キロの真実」(真面目編)

Posted by Lazyrose on   2 comments   0 trackback

ギャラリーに「マイウェイ 12000キロの真実」の感想絵その1をアップしました。

こちら

映画を観てから感想まで時間がかかった。
ひとつには絵を作るのに「軍服」という難関がそびえていたからだ(涙)
何しろ軍事関係にはとんと疎いもので、その道のオーソリティであるcariさんを拝み倒して、膨大なアドバイスとご協力を得て、なんとかそれらしくするのに通常の5倍くらいの労力を要した。
その辺についてはすべての絵ができあがってから書くとして(何しろまだ日本軍しかできていない)
もうひとつは何しろこの映画で描かれている題材が、ひじょ~に感想を書きづらい。
多くの人があえて触れたがらない日本と朝鮮との、差別、反目、その歴史のなかでももっとも暗い要因のひとつを正面きって描いているからだ。

微妙すぎる両国の、アンタッチャブルな感情論を逆撫でしかねない戦争に材をとった
この作品において、カン・ジェギュ監督は懸命に公平性を保とうとしているように思える。

「マラソンという夢を断ち、国家的忠誠心のカタマリのようになった日本人将校・長谷川辰雄」
「マラソンという夢を決して捨てず、人間を人間として扱う朝鮮人兵士・キム・ジュンシク」

ライバルだったふたりが戦場で再会するという、その設定をきいただけで
日本人なら「あー……」と想像する、まあその通りの関係性が、前半で克明に描かれる。
正直、日本人の目からみると「えー、それちょっと違くねえ?」と言いたい
突っ込みどころはもちろん山ほどある。
その辺詳しくない自分の目から見ても、

・いまだ二十代前半のはずの辰雄が大尉ならまだしも大佐とかってどうなのよ?とか
・暴動を起した朝鮮人に強制徴兵&前線送りってそれ違うだろ?とか
・帝国軍人にあるまじき撤退をした温情派の将校に対して
 いきなり二等兵に降格&その場で切腹(笑)

最後のくだりは、むしろ笑いをとっているんだろうかと疑ってみたけどそんな事はなかったようだ。
まあその辺は、韓国人が日本人に対して抱いている解釈をわかりやすくデフォルメした描写なんだろう。
こういうデフォルメはこれが韓国映画である以上しかたない。
というか、ハリウッド映画の「ラストサムライ」なんか、抱腹絶倒のサムライ描写満載だったからそんなもんだ。

ところがシベリアの強制収容所で虜囚となってから、話がぐんぐんと変化していく。

収容所で人間としての醜さを見せるのは、むしろ朝鮮人捕虜たちの方だったりする。
ジュンシクの親友だったイ・ジョンデの、ソビエト共産党へのべったりへつらいっぷりや、仲間を売ってはばからない保身っぷりはいっそ潔いほどだ。
そこでは極限状況での人間性の喪失が、あますところなく描かれる。
強い方に就く、それが生き残る条件だからだ。
誰も責められない、誰もが持つ人間の醜さだ。
そこに至って、前半の日本軍軍人たちの非人間的な言動も同じ種類のものだった事が暗に語られる。

辰雄とジュンシクに殺し合いをさせるソビエト軍将校の残虐さもまた、誰もが持っている醜い心理なのかもしれない。
そんな収容所生活の中で、頑なに祖国を信じていた辰雄は、次第に信念を失い、不安に揺れる。

この、全篇を通して描かれる辰雄の、内面の変化こそが、監督の描きたかった部分だろう。

ドイツ侵攻に際し、特攻を強要するソビエト将校に過去の自分の姿を見た辰雄の動揺は、ジュンシクと死闘を演じ涙を流した後の、彼の明確な変化を示している。
そしてドイツ軍の東方部隊としてノルマンディに至った辰雄の変貌ぶりがすごい。
生き別れたジュンシクとの再会に素直に歓喜し、共に働き、サッカーに興じ、戦い、そしてジュンシクを故郷に連れ帰るため尽力するに至って、
もはや別人のようにイキイキとした、魅力的な笑顔さえ見せる若者になっているのだ。

これに対してチャン・ドンゴン演じるジュンシクが、一貫してまったく変わらない。
彼は常に「走る」事が最高の目標だ。
そして、どんな過酷な状況に身をおいても、決して人間性を喪わない。
理不尽な暴力に屈せず、人間に対して、国家や民族といったカテゴリや感情の縛りに囚われずに対峙する。
個人的な怒りや恨みさえ、彼はナチュラルに克服しているのである。

仲間を裏切り、自分をも銃殺に追いやろうとしたジョンデを、それでも必死で助けようとし、
父や仲間の仇で、一度は殺し合いさえした辰雄をも、かつての友人と看做した彼は、身を挺して救うのだ。
決してくじけず、まっすぐで強いジュンシクは、もはやファンタジー的英雄だ。
その変わらなさがジュンシクという男の美しさであり、魅力だ。
……魅力なのだが。


これってどう考えても辰雄が主役(笑)



観ていて誰もが共感し、思い入れるのは辰雄の方だろうと思う。
またオダギリという役者は、そういう極端にブレのある人間の、複雑な内面を表現するのが非常に得意なのだ。
洗脳状態の皇軍兵としての、狂気を伴った純粋な忠誠の表情。
収容所での痛めつけられ、動揺し、心細そうな表情。
ノルマンディでの、穏やかな、人間らしい青年の表情。
観客は、辰雄の成長と変化を共感しながらストーリーを追ってしまう。
正直チャン・ドンゴン氏は損な役回りだなあと、日本人である自分が申し訳なく思うくらい(笑)

監督は決して日本軍の旧悪を暴く反日的描写をしたかったわけではない。
そして日本人に擦り寄る親日表現をしたかったわけでももちろんない。
戦争というものがすべての人間に及ぼす(超人ジュンシクだけは染まらなかった)狂気、
そして国籍や人種を超えてつなげる手の存在、そういったものを描きたかったのではないだろうか。

この映画を「反日だ」と思う日本人、「親日だ」と攻撃する韓国人がいるが、
とても勘違いだと思う。
というか、正直、そういった視点はすべて(二時間半だけ)捨てて、素直に見るべきだと思う。
シンプルに、ヒューマンドラマとして、もしくは迫力のある戦闘シーンをぞんぶんに楽しめる映画だ。

惜しむらくは、日韓双方に対して配慮をしすぎた点だろうか。
日本人にとって納得できる日本人描写ではないし、韓国人が望む日本人描写でもないだろう。
双方に配慮した結果、どちらからも不満があがりかねない。
ただし、その配慮と配慮の間をすり抜けて、監督自身が目指した「きれい事」が見える。
甘い、といわれようとも、そのきれい事をこそ目指すべきなのではないか。

そんな問いかけを感じる映画だった。


というような事で、日本軍編の絵で言いたかったことは、皇国の軍人・辰雄の皇国の軍人っぷり、ただそれだけだ。

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Comment

NICO says... "その1アップおめでとう♪"
お待ち申しあげておりましたよ~。
いやはや、この映画に関してこんなにちゃんとした真面目なレビュー、巷では滅多に見られないので大変興味深く読ませていただきました。
そして深く納得!
そうよねー、辰雄が主役よねー!
人間強いところも弱いところもあってブレブレだけど必死…っていう人の方が魅力的なもんです。
ブレないスーパーヒーローは、かっこいいけど人を惹きつける生々しい深さはさほどじゃないってことだと思う…。
いやあオダギリ、はまり役だったんじゃないでしょうか~(←これが言いたかったっ)。
その2その3その……楽しみにしております。
2012.02.29 09:52 | URL | #- [edit]
rose says... "どうも遅くなりまして(汗"
>NICOさん
長文読みづらくてすいませーん。
この映画、説明要素多すぎて、必死で減らしたんだけどこれ以上削れなかったよ(TдT)

感想書きあげるまで、なるだけよそ様のブログとか見ないようにしてたんで、これから感想巡りをやっとできます!
映画全体としては不満もないではないけどよくやった、と言う感じですよね。で、結論はオダギリひとり勝ち(笑)
まったくはまり役だったと思います。
頑張って次は不真面目編を書くですよ!
2012.03.01 11:56 | URL | #4SZw2tfw [edit]

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