Poizon of rose

蜜×毒なイラストとかOJとか

神の加護あらん

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思い起こせば三ヶ月前、会津戦争に傷む人々の心を癒すために天から使わされたとおぼしき、まっ白でふかふかした伝道うさぎちゃん降臨に、我々視聴者の心は躍った。
いっそ脚本家の嫌がらせとしか思えん前夫アゲヽ(`Д´)ノにも関わらず、登場するやいなや、その笑顔と天然パワーでヒロインだけでなく視聴者の心までもぐっとわし掴みにした我らが襄先生。
さらにはひと癖もふた癖もある幕末維新の生き残りオヤジどもを難なく懐柔し、篭絡し、薙ぎ倒し、気がつけば彼の夢である日本人教育のために善意の奉仕をさせまくった(あの伊藤ですら最終的には寄付した)。
うーむ、志なかばで斃れたとはいえ、白うさぎの実力たるや恐るべし。

というのが、自分の(「八重の桜」での)新島襄評w

時に優しく八重さんの閉ざされた心を開き、時に八の字まゆげで諍う人々を和ませ、地獄のように重苦しいシーンも「八重さーん、八重さーん!」というあの呼び声ひとつで見事に粉砕してしまった、無敵のシリアスクラッシャー襄先生。
病にやつれ、己自身がシリアスな状況になっても笑顔をたやさず他人のことばかり心配して、同志社の将来を案じてひたすら走り続け、利他に徹した47年間。
あと一歩で夢の大学設立がかなうという時に、無念のリタイア。
なんという悲劇! なんというドラマ!(´Д⊂ヽ

ぶっちゃけ新島襄という人物には何の関心も共感もない、否、むしろ聖人君子は嫌いなこの自分をして「襄先生の敵はワシの敵」と思わせしむるとは!
‥‥うん、いや、まあそりゃオダギリが演じてたからなんだけども(笑)

オダギリすげえなあと思うのは、たぶん自分を含めほとんどの人が
「新島襄って誰だっけ?」
「ああ、カルタで見たことある」
程度の認識だった新島襄を、全国的に「教育のために命をかけたむっちゃいい人」(意訳しすぎ)だと知らしめたことだ。たぶんこの先「新島襄」といえばほとんどの人がオダギリの襄先生を思い浮かべることだろう。

以前、自分は大河ドラマは国を動かしてなんぼのドラマだと書いた。
その点においては、主人公が国政にかかわりのない一婦人というのが若干辛い「八重の桜」だが、もうひとつ大河ドラマには役割があって、それは「世間にあまり認知されていない歴史上の人物を知らしめる」事だと思うのだ。
これまで正面から触れられたことのなかった幕末の会津を主役にし、さらに新島襄という人物を(かなり端折ったとはいえ)世に広めた「八重の桜」はなかなかいい仕事をしたんじゃないかと思う。

そりゃあさあ、欲をいえばキリがないわい。
どうにも、新島襄という人の根幹をなす理念と信条がまったく説明されないまま、事象説明に追われて「そういう事だからよろしく」脚本が目立ったとか。
そもそも襄先生が国禁を犯してまで渡米した理由もちゃんと描かれてないとか。
キリスト者としての立ち位置をほとんど描いていないせいで、彼の信念がよくわからんとか。
なんかいつ見ても「金がない」と資金集めをしてるだけの人に見える(笑)とか。
そんで、その辺をすべて説明できるはずだった資金集めの会合での襄先生の演説が、ただのスケジュール説明で終わったとかorz

しかし、そういう不満の数々にも関わらず、視聴者の多くが襄先生を正当に評価し、愛し、ドラマの中のことなのにその死を悲しむほど入れ込めたのは、ファンの身贔屓さっぴいても、やはり役者の演技の力が大きいと思う。

だいたい襄先生のキャラクターは史実のままの方が魅力的だったような気がするんだよ。
国禁を犯しても異国へ渡り、学び、多くの寄付をとりつけて帰国し事業を成功させたという彼の経歴から描かれる人物像は、思い込んだら命がけの情熱と、目標に向かって着々と行動する明晰な頭脳と行動力を持つ、一本筋の通った男性だ。ちなみに結構短気なところもあったとか。
そう、むしろ八重さんの前夫・尚之助に似ている。
というか、前夫の描写は新島襄をベースにして創作したようなので、むしろ実際の襄先生の人となりは尚之助の方に投影されているのではないだろうか。
なんで前夫を新島タイプにしたんだろうか? 旧弊な人物にしておけば、その後あらわれた襄先生の個性が新鮮に見えて、時代の変化を表現できただろうに。 
制作側の狙いはよくわからんが、しかし、癒し属性が強化されまくった「そんな聖人いるかよ!」みたいな人物像でも血肉の通った人間に仕立て上げるのが役者の腕というもの。
今回、襄先生の死に至る過程で、どんどんやせ細り、生気が薄れ、命を削って同志社のために尽力する姿の説得力は誰もが認めるところだと思う。
もはや襄先生なんだかジョーなんだかわからないくらい一体化した存在がそこにいて、たぶんわりとかなーり、オダギリの演技力が世間に評価されたんではなくって?

それは他の役者さんたちにも言えることで、すっ飛ばされた人物描写を表情や言い回しという演技面でカバーできる実力のある役者さんが多いのも、「八重の桜」の見所だったと思う。
八重役の綾瀬はるかさんの泣き演技もとても良かったので、臨終シーンはベタな展開だったにも関わらず素直に感動できた。

神とともにあらん

タイトルにもなっているが、襄先生の最期の言葉「グッバイ、また会わん」
末期のセリフにしてはなんかスカしてるじゃんなどと思ったが(笑)、実はGood-bye は God be with you (神のご加護があらんことを)というセンテンスを短縮したものだそうな。
「神の加護あらんことを。また会わん」
なるほど。確かに襄先生はキリスト者だったのだ。
愛し、ともに歩む者だったのだ。

死に際して「ありがとう」といわれる人生の、なんと豊かなことか、と心から思う。

そんなベターハーフの襄先生が亡くなってから、八重さんが篤志看護婦人会に参加するまでに実際は三ヶ月の時が流れている。
これを、夫の死から立ち直る期間として、長いとみるか短いとみるかはその人によるだろう。
自分は、かつて襄先生が八重さんに語った、
「亡くなった人達はもうどこにも行きません。あなたのそばにいてあなたを支えてくれます。あなたが幸せであるように、強くなるように」
というあの言葉が、今ふたたび八重さんを慰め、励ましていると信じている。
八重さんに、神の加護と、襄先生の加護があらんことを。

‥‥反面、やっと病魔と鬼総監の目を逃れた襄先生が、のびのび羽を伸ばしてくれてるといいなーとも思ったりw

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ところで山本兄は、人に何かを命令するならきちんと理由を説明してからにしたらどうなの。
いきなり「行け」と命令→拒否られて激怒→理由説明って順番間違ってないか(笑)

Comment

sannzi says... "八の字眉"
八の字眉の名演技に、ついつい見とれる前回今回でした。
クウガの時は意識して観ていなかったけど、機会があったら眉に注目して演技を見直してみたいです。

八重さんは結局狂言回し的、主人公だったのかもと思っています。
それが、其の時々で、例えば、幕末の会津の武士を主役にして世に知らせむる役割を果たす事になったのではないかと。

勿論京都編では新島襄が主役だったのではないかと。
唯その狂言回し的役割を、意識して八重さんに負わせていれば、もっと深みのある面白いドラマになったのではないかと・・・
等と分かったような事を書いてお恥ずかしい(^_^;)
でもその方が八重さんも真の主役になれたような気もします。

>God be with you (神のご加護があらんことを)

これは凄く納得しました。
ナレーションで入れておいて欲しいくらいでした。

後確か2回でしたか。
この2回は正真正銘、八重さん主役の回になるのかなと思っています。
2013.12.05 23:04 | URL | #65NRAAvU [edit]
chizu says... ""
圧巻でした。
どうだぁオダギリジョーいいだろ~
ってドヤ顔しました。

せっかくジョーが大河にでてるのにもったいなあと
思わないくもないですが。

「八重の桜」が大河に決まったときから新島襄の役はオダギリジョーでと
思ったのでそれが叶っただけで満足です。


2013.12.06 09:39 | URL | #CjlWd7YA [edit]
rose says... "とりあえずオダギリGJで"
>sannziさん
そうそう、オダギリの眉は結構いい仕事しますよー(笑)
大河ドラマでは眉をぶっとく描かれるので余計に目立ちますね。

八重さんがどういう主人公だったのかは、とりあえず最終回まで見てからと思いますが‥‥sannziさんのおっしゃるとおり、【明治編を貫く背骨は実は新島襄であった】のだと、公式のクライマックス編スペシャル動画を見たらなっていたので大変驚きました。おい、それだったらもうちょっと描かないといけないとこあっただろうがよ! みたいな。

果たして八重さんはあと二回でほんとに主役になれるのか、いや来週はたぶん容保様&山本兄が主役だから無理そうよw

>chizuさん
そうなんですよ、「どんなもんだい!」って何故か自慢したくなっちゃうオカン状態w
オダギリはルックスが良いせいか、どうも演技力過小評価されがちなんですが、常々ドラマだけじゃなくて映画の彼を観てくれんかなあと思ってました。
大河という超メジャーな舞台が用意されたことはとてもラッキーだったと思うし、十分に実力を見せてくれたオダギリを褒めてあげたいですね。

何だかんだいっても新島襄役がオダギリで大成功だったのは事実で、脚本とオダギリのあわせ技であの「襄先生」というキャラクターが誕生したことを素直に喜びたいです。
2013.12.06 16:47 | URL | #4SZw2tfw [edit]

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