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「大川端探偵社」#7 やっぱエロスでしょ

Posted by Lazyrose on   4 comments   0 trackback

うーむ、冒頭に所長が「雪国」を出してきたと思ったら。
なんというか、今回のストーリーには実に川端的な匂いを感じた。
うん、まあ文学的、という意味でもそうだが、むしろ自分にとっての川端康成はエロス&ホラーである(あれがノーベル賞授与したという点で自分のノーベル賞に対する間違った認識がw)

ラストシーンのやりとりは、「それでどうなったの?」と思うだけではなく、遡ってそもそもどういう事だったのかと、物語全体の解釈をゆだねるスタイルだ。
深夜帯のドラマ視聴者はかなりこういうのに慣れているかと思ったが、意外とあちこちでざわめきが起こっていたので、やはり「解答を与えられる」ことに慣れた世代はびっくりするのかも知れない。
人によっては難解で、突き放されたような気がするラストに不満を覚えるだろうし、「だがそこがいい」という向きもいる。
個人的にはわかりやすく誰でも安心して笑える前回の弁当事件より、断然こっちの方が好みだ。

これまで、ちょー好みの村木とかちょー好みのエゴラッピンとか、アナログ感たっぷりで洒落た映像やほのぼの人情ストーリーに惑わされてあまり深く考えてこなかったんだが、そもそもこのドラマ「ボーダー」的な要素を奥底に入れてきていると思う(原作は読んでいないが、大根監督的には)。
あ、そういえば今期「ボーダー」とかってドラマがあるらしい。きくところによるとそういう系の話みたいだがそっちは未見なので、自分が言ってるのは「熱海の捜査官」とか「ツイン・ピークス」的な意味のボーダーである。
なにしろ所長いわく「ファンタジーな事件を得意とする」という大川端探偵社。
ひょっとすると、依頼人も依頼内容も、この探偵社そのものさえも、この昼寝ばかりしている村木の見ている夢なのではないか? という見方すらできる。
川べりにある探偵社というのも夢と現実のはざまを意味するのではないかと呟いた方もいらして、なかなか卓見だと思う。浅草という土地そのものがかつての境界地だったわけだし。
考えてみればこれまでの依頼も日常からちょっと外れたものが多かった。まあ、あくまでも日常の中の非日常(「過去」という名の)を探す話だったが。
で、今回の話は若干ボーダーを越えてあっち側に近い気がするんだよな。


そうそう、ひとつ注意したいのは、意図的にかどうかわからないが、途中からストーリーの視点が「依頼人」から「女優」へとすり替わっている点だ。
「20年前の雪女に会いたい」という依頼人の案件はすでに終了しており、探偵が抱えたのはむしろ女優が見せた意味深な「昔話」の方だったのではないかと思うのだ。
雪女に出会った男は、その話を(雪女である)女房に話してしまったが故に女房に去られてしまう。
依頼人もまた、現在の女優を見つけてしまい、彼女に声をかけてしまったが故に、長年心の中に住まわせていた理想の女性を失ってしまう。
だが、去った雪女の方はどうだったのか?

殻を破って一人前になりたくて、無茶な命令にもどこかときめきながら従っていた、過去の稚い自分はもういない。
「女優を育ててやっている」と思い込んでいる底の浅い演出家を嘲笑できる年齢になり、女優として脚光を浴びているようでも、その実スキャンダルを起こした俳優だか監督だかの隣で困ったように微笑んでいる程度の存在でしかない。
各所ででてくるエピソードも、それらしき暗喩に満ちている。すき焼きで生卵を6個も食べるというのは、殻を破りたい女優の卵のメタファーなんだろう。
してみると、大物女優の食べ残したエッグベネディクト(という料理らしい。知らんかった)の黄身がどろりと落ちるカットは、すっかり一人前の女優になった彼女の、完成された料理であることへの不満を表しているのだろうか。
そんな彼女にとって、探偵によって「過去」の話を持ち出されたという事は、昔話の雪女が「話してはいけない」というタブーに触れられたに等しかったのではないだろうか。


「いまはもう誰も「宿題」を出してくれなくなった自分に気づいた女優が、もう一度殻を破りたくて、過去のシチュエーションを再現した」のかもしれない。

「『男の支配欲』という村木の言葉に、そうかあれは演出家としての増上慢ではなく男の欲望であったかと悟り、ならばそれに支配されたがる『女の被虐欲』を表出させた」のかもしれない。

「実は二十年前に利用するだけした依頼人への罪悪感が残っていて、贖罪に行きたいけど『命令』されなければ行くことができなくて、探偵に命令されに来た」かも知れない。

「もしくは単にキモいおっさんである依頼人より、若くてイケメンの探偵とよろしくやりたくなったという‥‥(オイ)」
まあそんな解釈だってありだ(笑)


結末は、観た人がそれぞれの心の中を反映させたものになるだろう。
「ついて来なさい」と命令した村木は、彼女をどこへ誘ったのか。
見る人の数だけ正解がある。ていうか、考え出したらあと十パターンくらいは理由付けと結末思いつけるな、ワシ。


それにしても村木の「ついて来なさい」は実に良かった。
あのセリフ、あのシーンのための、それまでの40分間だったと言っていいだろう。
ぐらりと揺れるハンドカメラ映像が村木の心象を表していて、‥‥いや、村木はその前から揺れていた。
夜更けの事務所でひとり考え込む村木の内面の揺れ。
しけたマッチでは火がつかないのに、それでも擦ってみる村木の心の揺れは、境界線の真上にいるものの揺れだ。

140601-blog1.jpg
(クリックで倍)

メグミちゃんのあけすけな「ノーブラショー♪」をものすごーく冷たい目線で跳ね返す村木。彼はむしろ観念的なエロスに揺らぐ男らしい。
そういえば2話ではエロスを極めるお姉さんに動揺していたところを見ると、彼のエロス感度はかなり高い。朴念仁だけども繊細なエロスに反応するw
そしてそんな彼を待っていたのは「雪女」――。

まあ、結末は夜の先へと消えているわけで。
ほのぼの人情もの展開も、エロス展開もどっちもありだという事で。
言葉で説明しすぎず、無理に感動を押し付けないこのドラマの良さが、最大限引き出された回だったように思う。




‥‥まあ、村木が一番愛してるのは事務所のソファと毛布だろうから、とっとと依頼人のとこにぶっこんだだろうとワタクシは思っておりますがね!

Comment

sannzi says... "ほうら、やっぱり<(`^´)>"
私が初回の感想記事のコメントで書いたように
>「熱海の捜査官」とか「ツイン・ピークス」的な(匂いのする)
ドラマだったではないですか!
と、鼻高々に言おうと思ったけど、私のは唯単にオープニングや音楽、特に2話目の予告編の画面の色使い等でそう思っただけでした。
成る程ボーダーと言う世界観が共通項だというのは説得力があります。
そもそも毎回予知夢で次の客を予想してしまう村木自体、充分ボーダー世界の住民と言って良いのではないでしょうか。

又、視点が入れ替わっていると言うのも気が付きませんでした。
言われて見ればその通りで、この回の主役は依頼人から女優に代わっております。
流石です。
私も多分贖罪に行った方ではないかと思います。

私が浅草に居たのは余りに遠い昔の事なのですが、確かにボーダー的特異な印象が記憶として残っております。
一言ではとても言えませんが、夜に成るとちょんまげ浴衣姿の力士が芸者を連れ歩き、都有数の観光地でもあるお寺の裏に、どこかうらびれた遊園地が存在する、等々、非現実的な土地柄だと思います。
今ではその上に世界一のタワーがそびえて建っているのが望めるとか・・・時代さえ混沌としております。

(追記、ああそうか!私が妙にひかれたのは浅草に探偵社が有ったからなのか、と、いまさらながら気が付く、遅い(>_<))
2014.06.02 22:35 | URL | #u2lyCPR2 [edit]
rose says... "御見それしましたー"
>sannziさん
いやいやもう、始まった当初このドラマのどこにツインピークス要素があんのかいと(笑)思っていたもので、sannziさんの慧眼(嗅覚かしら)に感服です!
でもボーダー理論、今回適当にでっちあげたので断言していいか自信ないんだけど(断言してるし)、意外と今回だけなのかも知れないけど、おっしゃる通り村木の能力アレだし、いいよね、断言しちゃってw

自分が「違うやろ」と思っていたのは、たぶん原作は全然そういうノリではない、にも関わらず、大根監督の手を経た時点でこっそり仕込まれていたんじゃないかと思うんですよ。
だって本来のストーリーにはまったくそういう気配ないよね? 弁当とか怖い顔とか元アイドルにはないよね?(笑)
村木に夢能力付加した大根監督の意図を読みきれなかったおのれの未熟さを反省するとともに、監督の手腕と趣味の良さと、それをかぎつけるsannziさんの能力に拍手を惜しみませんー。

>私も多分贖罪に行った方ではないかと思います。

うんうん。これまでの村木の言動からいって踏み越えはしないと思うんですよね。あと想定内のエロよりそっちの方がむしろエロい気がするのw

浅草や上野は、江戸時代から現実的な境界線であるとともに、ある種異界との交流地でしたからねえ。
sannziさんも浅草におられたんですか! それは思いいれますね。
自分は浅草は友人の家があって、遊びに行く先でしたから、住んでいらした方ほどではないですが、やっぱり見ていてソワソワしちゃいます。あー、浅草行きたい。
2014.06.03 17:11 | URL | #4SZw2tfw [edit]
chizu says... "深い"
ですねえ。

すごくよかったです。
超好みです。

最後のシーン、なんですかあれは。
うまくいえませんがとにかくすごくよかったです。
2014.06.03 22:53 | URL | #CjlWd7YA [edit]
rose says... "よかったですよねえ"
>chizuさん
なんかこう、結論を言わぬがゆえの、ほのかに香るアトモスフィアってんでしょうか。大人よ、大人のドラマですわ!
最後のシーン、うっとりしちゃいますね。
とりあえず女性視聴者は間違いなくほぼ全員が「付いていきます」って胸の裡で叫んだことでしょうw
2014.06.03 23:58 | URL | #4SZw2tfw [edit]

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