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超高速「名相是清・リア充物語」(ダイジェスト版)

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「経世済民の男 高橋是清」後編視聴。

とりあえずリニアモーターカー並みのスピードで「経済人から見た明治~昭和」そして「高橋是清」という人物の本質を2時間に納めたジェームス三木の手腕は凄い、と前編に続き思う。

世間の評判を見ると、おおむね好意的に受け止められているようだ。
もちろん中には批判的な意見も、いくらかは見受けられる。その大部分が、経済方面に詳しい人たちからの、「国債発行による政府支出拡大(積極財政)はスルーなのか!」的な、要するに経済対策描写の不足についてだ。
これはもう、歴史オタの人たちが「なぜ桂さんを無視する!」「山田市ィはどこに行った!」「中央政局ほとんど描いとらんやんかー!」と激怒するのと同じような怒りであろう(←べ、別に特定の大河を指しているわけでは!)
詳しい人にとっては許せない部分なんだろうなあ。

いや、でもねえ、経済のことはさっぱりわからない人種にとっては、「なぜ是清が日本のケインズと呼ばれるのかがわからない」‥‥のを通り越して「そもそもケインズって誰?」@小次郎ブログ)という、そういうレベルでの描写不足問題なので、

そういうのは要するに全部「尺が足りないせい」という結論で。


さて、そんな限られた尺の中で、どこを省略してどこに時間をかけるか、という制作側の取捨選択がドラマの質を決めるわけだが、さすがベテラン脚本はその辺の判断を過たない。ここぞという部分に時間を割くことで、視聴後の「高橋是清ってこういう人だったんだ」という印象に陰影がついている。

たとえば後半の山場のひとつであるヨーロッパでの戦費調達のくだり。
ありがちな熱意だの涙だのの感情論で説得するのではなく、淡々と相手の損得勘定に訴える交渉術は、一見すると盛り上がりに欠けるようだが説得力がある。
そして人によっては余計な部分に思えるかもしれないが、壇蜜さん演じる芸者お君との再会シーン。かつての恋人と再会した時の会話が実に印象的で、個人的に気に入った。

「わしを、なんで見捨てた?」
「足手まといになってはならないと思いました」
「‥‥ふーん?」
そんなやりとりだけで、そして階段でさりげなく手を取る仕草だけで、時を経た大人の男女のしっとりとした心情(おそらく二度と会うことはないであろう)を描いている。

大人だ! 大人の関係だ!
そういえば通常のドラマなら確実に時代性を無視したフェミニズムクレームがつきそうな、女中頭との隠し子発覚(その後さらに延焼拡大)エピソードもさらっとこなしてるあたり、大人のドラマだ。
これが通常の大河ドラマだったら間違いなく是清は宮城のお堀あたりに投げ込まれていただろうに(笑)


思うに、このドラマは決して「歴史」を描いてはない。
主人公が歴史上の人物だから当然史実を追う形にはなっているものの、このドラマが描いているのはあくまでも「高橋是清」の人となりであり、さらに「明治~昭和の日本経済の輪郭」(あくまでも輪郭)だ。
だから史実の流れが切れ切れになっていても、冒頭からラストまでの筋立ては理解しやすい。
そして、ことさらご親切な説明しなくともその人物がどう考え、どんな感情をもってそのセリフを言っているのか、視聴者にはきちんと伝わるであろうという、視聴者への信頼を感じる。

筋の通った脚本というのはこういうものなんだなあと思う。

と、脚本ばかり褒めたが、地味ながら丁寧な考証に基づいた美術や照明、カメラワークなど、細かい制作の仕事も評価したい。
そして思いがけず音楽にも感心した。盛り上げるために意図的に音楽を使う番組が多い中で、ことさら強調せずに作品にマッチした曲の使い方で、映像を見ていてまったく邪魔にならない。

さらに老年是清を作り上げたメイク!
二時間かけた特殊メイク凄い! イマドキの高性能カメラの暴力的な画素数にも耐えるメイク技術はなかなかに見ものだった。番宣でオダギリも言っていたが、手のシミや皺まできちんと施されていて、老いていく是清の姿には唸った。
果たして40年後のオダギリがこうなっているかはわからないが(たぶん違うと思うが)、前編の若年是清が40年たったらこうなるな! と納得できる爺姿だ。

そしてオダギリのあまりにもスムーズなジジイ演技をはじめ、俳優陣がまた演じてる感のない、良質な演技で安心できた。まあ、このままそっくり大河ドラマにして遜色のない顔ぶれなだけに当然といえば当然だが。
明るく前向きな一文なし~副頭取時代から、時代が戦火に近づくにつれ暗転していくのが、各シーンの映像、音楽、照明、演技で違和感なくたった一時間で表現される。

ドラマの持つ説得力とはこういうものか。
(あ、犬養首相に関してだけは「この犬養なら返り討ちだろ!」とか思わないでもなかった)

ラストの切り方には賛否両論があるだろうが、自分はあれはあれでよかったと思う。
これもまた尺の問題でもあるのだろうが、それまでどんな事があっても明るく、「かっと目をひらいて」一寸先の希望を見続けてきた是清が、理不尽な暴力によって斃れるシーンは描かれるべきではない。
考えてみると、森有礼、原敬、犬養毅、作中ではさんざん要人暗殺のエピソードが出るものの、主人公を含め一切画面には出てこない。そこにも制作側の無言の意図があるのだろう。
何者かの気配で雪が落ち、だるまが転ぶ。
多くを語らず意図を通じさせる、このドラマの総仕上げといえるラストシーンだ。

150901-blog1.jpg



そして一部の視聴者にとって胸が張り裂けるような場面があったのだが。
事情を知らない一般視聴者にとってはそれはもう幸福で、やさしく愛に溢れたシーンだった。
見ていてつい涙ぐんでしまいつつ、同時にそれをきっちりやってのけたオダギリジョーという役者の魂を見た気がする。
ほんとうに、彼は良くこのドラマを全うしてくれたと思う。

さんざん宣伝などで言われてきたことだが、ラストで、是清のやさしい目元とオダギリジョーの目元が見事にだぶって、なるほどなあと。
「転んでも転んでもただでは起きない」ダルマ是清を演じたことが、オダギリ自身にとっても救いになっていたらいいなと心から思う。

Comment

sannzi says... "だれそれ・・・"
(何故、是清が日本のケインズと呼ばれるのか)みたいな事を言われると、ケインズは知っているのが常識なのか!と思ってしまいますよね(T_T)
自分も知らなかったので、誰かがカミングアウトしてくれるとほっとします(^_^)v

是清に三味線の箱を持たせて従わせるお君さんも、お墓で手を添えるお君さんのシーンも美しいイメージが残って良かったです。
 
暗殺シーンがなかった事は、爽やかな是清の生き様がドラマのイメージとして残ったので、なんだかほっとしたし、自分も良かったなと思いました。
言われてみると、他の暗殺シーンも一切出てこなかったですね、成る程、之がこのドラマの特色の一つだったのか・・・

メーキャップは老年メイクもですが、18歳の時も驚きました。
時折実年齢に見える時もあったのですが、総じて18~20程度に見えてしまいました。
あれは若作りメイクとか、或いは照明の按配とか有ったのでしょうか、そうだとすると老年メイクより難しかったのではと思いました。
2015.09.03 21:41 | URL | #u2lyCPR2 [edit]
rose says... "経済学者だったよな、くらいの認識でw"
>sannziさん
いつもPoserと関係ない記事にまで温かいコメントありがとうございます。
そうなんですよね。いえね、私は博識なのでケインズの名前くらいは知っておりましたが(どんな博識じゃ)、正直名前は知ってたって理論なんかわかる人国民の何パーセントいるのさって感じですよね!
とりあえず宣伝で「日本のケインズ」と謳うからには、ケインズがどんな人なのか作中で説明して欲しかった、とこれは数少ない不満のひとつですねえ。

若作りに関してはおそらくメイクではなく本人の謎の顔面修復能力ではないかと思います。何しろ役によって本気で輪郭線変わえる男ですから。マジで2000年のクウガ当時に近い容貌にファンも腰を抜かしておりました。
(これならクウガ続編やれる‥‥そのまんま続きイケるで‥‥)

あっすいませんちょっと内心が漏れちゃいました(テヘ
2015.09.04 01:47 | URL | #4SZw2tfw [edit]

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