Poizon of rose

蜜×毒なイラストとかOJとか

「重版出来!」#4 恋バナだった。

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良いドラマに多く見られる手法として「うまい対比」がある。
今回でいえばまず
「画力があってテクニックは持っているが完成した物語を構築できない東江(あがりえ)」と、「次から次へと物語が湧き出て見せ方もわかっているけど画力が追いつかない中田」という、ふたりのマンガ家志望者の対比だ。

まあ東江さんのはしょうがないんじゃないかなあ。だって彼女が描いてるのはBLで、BLってキレイな呼び方最近してるけど要は「ヤオイ」なわけで。ヤオイっていうのはワシが解説するのもなんだけどそもそも「ヤマなしオチなし意味なし」から来ている、というのが定説になってるくらい情緒・情景描写にのみ特化したジャンルなわけだからねえ。
そこにいきなり商業誌的一貫性を求められたってキツいよねえ。

それに対して、誰がどうみたって中田はこりゃホンモノだ。
別にマンガに限った話ではないが、表現者というのはもともと「表現したいもの」がその人の中に渦巻いていて、それを出すための手段として「マンガ」「絵」「小説」「彫刻」「音楽」など、ふさわしい表現方法をとる、というのがあるべき姿だ。
一方で、器用でそれなりのクオリティを一定レベルで作り出せる人間は表現者というより技術者だ。
別に上下があるわけではない。向き不向きの問題で。むしろ今の社会では一定レベルの商品を安定して供給できる人間の方がいいんじゃないかと自分なんかは思わないでもない。

でも、渦中の本人にとってはそうもいかないのも事実。
何度も何度もネームのやり直しをくらって、心に対する不信感まで芽生えてしまった東江の姿には誰もが自分を投影してしまうだろう。
しかし正直なことを言わせてもらえば
東江さんメンタル豆腐すぎて表現者に向いてない。
編集からの批評をいちいち全部真剣に受け止めてる生真面目さも向いてない。
更に言えばきれいなお部屋でiMacで液晶タブレットとかいう時点でどうかと(←これは嫉妬)

まあそんな彼女では、横からするりと「私と組んで今すぐちゃっちゃとデビュー」という悪魔のような安井の声によろめいてしまうのも無理はない。

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で、ここに「はじめから金の卵なんてない、育てて金にするものだとという心」「普通の卵にメッキを貼ることはできるという安井」のふたりの編集者の対比が重なってくる。

「ネーム直しばっかやらせて就職の機会逃させて、オマエは会社員だからいいよ。
デビューちらつかせて引き伸ばしたあげく人生棒に振ったらどうすんだよ。お前に責任とれんのか

安井の言う事が正しい。社会人としては。
フリーランスの人間にとって、安井の出す確固たる契約条件は非常に有難いものなのだ。食っていかなきゃならないし。
ぶっちゃけ出版業界って契約という概念に乏しくて(最近はしらんが)原稿料とかいっさい決まってないまま締め切りだけ要求されたり、暗黙の「他社の仕事すんなオーラ」で干上がったりするようなところだし。
しかし、安井の提示するそれだけでは創作人としての心は折れる。
漫画家というのは、フリーランスであり、かつ創作家でもあり、両方の要素を備えているので。

だから結論としては心でも安井でもなく、マンガ家としての才能を見分け、即戦力になるアドバイスで育ててデビューさせることのできる五百旗頭(いおきべ)が正義なわけだ。

心の編集者としての指摘も決して間違ってはいない。
ただ、その指摘は具体性に欠けていて伝わりにくい。抽象的な指摘でやり直しを命じられても、やり直す方は心をへし折られるだけなのだ。欲しいのは「あなたと頑張りたい」という感情論ではなく「ここをこうしてみたら」というアイデアなのであって。
そのへん、同じような新人の大塚を速攻で仕上げた五百旗頭の編集者としての能力は凄まじい。

やはりこのドラマは漫画家を描いているようで、実際は「本当の編集者になるには」という話なんだな。

これまでは1話完結型のようだったが、今回から「新人を育てる新米編集者」としての長編的な展開らしい。とはいえ、前の話の登場人物もきちんと描いてくれているので、話に深みと広がりがある。なんか視聴者も作中の先生方にすっかり思い入れしてしまって、

メロンヌ先生が元気になった‥‥よかった‥‥(´;ω;`) (←壬生にシンクロ)
三蔵山先生と沼田くんも出てきてわあ嬉しい! ‥‥っておい! 読ますな三蔵山先生にBL読ましてんじゃねえよおいこらあああ!ヽ(`Д´)ノ
みたいな(笑)


で、これで今回は終わりかなと思ったら最後にすごいオチがきた。
岐阜の山奥で林業を営んでいた古館市之進78歳。

「遅すぎる夢でしたかのう」
としょげるおじいちゃん、シルバー向けの雑誌の出版社をピックアップした心のアドバイスのおかげで、古色蒼然たるのらくろマンガがなんと書き下ろし単行本重版決定!www
「普通に就職して結婚しておばあちゃんになって、ああ、漫画家になりたかったなあって後悔する」という東江の言葉に対するものすごい対比キタコレ!

なんだか今回の話の辛さにしょんぼりしちゃった視聴者が
「やっぱ若い頃チャレンジしておけばよかったかなあ‥‥いや、今からでもやれることはある!」
と、とりあえず立ち直れる要素だった。

まあ、大丈夫だ心ちゃん、ほらキミには希望の星があるじゃないか! きれいに丸が描けるようになった中田が!
あと、めざすべき理想の編集者がすぐそこに!

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魂売ってコレ買えるなら今すぐ売るから悪魔来い! って思ったらタイムラインはすでに希望者殺到で何年待ちになるか想像もつかないありさまでござる‥‥orz

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