Poizon of rose

蜜×毒なイラストとかOJとか

「重版出来!」#9 メガネは本体じゃなかった的な。

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さて、お待ちかねの第9話。
今回はオダギリ演じる「常にクールで非のうちどころのない」副編集長・五百旗頭(いおきべ)がフィーチャーされたわけだが。


人気連載「ツノひめさま」を企画から立ち上げて成功させ、大御所・三蔵山先生からも信頼される有能な編集者。
私生活でも行い正しく超がつく善人(本人的には「運溜め」らしいが)。
主人公の心のみならず営業の小泉までが憧れ、編集長の信頼も篤く、あの安井ですら(笑)よっぽどの事がない限り噛みつかない、誰からも一目置かれる五百旗頭 敬。

しかし、その五百旗頭にとってさえ、人生は「あれで良かったのか?」の連続だったようだ。

「HITTI-POTTI」の井上先生をエンペラーに送り出したのは正しかったのか?
高畑の引き抜き現場を見つけて追った自分は正しかったのか?
追ったはいいが、今どうするべきなのか?

クールな外見と裏腹に、オダギリの声で語られる五百旗頭の内心はブレまくっていて、なんつーか内心と見た目のギャップがありすぎて面白いw

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もうこのネタわかる人も少ないだろうかw

常に冷静な(ように見える)五百旗頭の弱点は、まさにその「冷静さ」にあったようだ。

井上氏の件だけでなく、なんとバツイチ原因までが「冷静すぎるから」だったりして、要するに自分の本音を相手に伝えることができないタイプらしい。
そんな五百旗頭が殻を破るきっかけとなったのが今回の「高畑引き抜き」‥‥というよりは「ツノひめさま」連載終了」騒ぎだったわけだが。

こんな事言うのも何だが、正直、五百旗頭そのものにはそれほどドラマ感がない(笑)
ドラマというのは、その人物に何らかの「欠如」あるいは「過剰」な部分があるからこそ際だつものだからだ。
五百旗頭の場合、本人の出来が良すぎて、今度の挫折も他の編集部員ほどには「ヤバい感」がない。
だから今回のエピソードではむしろ、心の担当編集者としての成長と覚悟の方に感心した。

「小熊には言うな。あいつはきっと、泣く」という高畑も、
中田伯の連載に向けて必死な心に高畑の件を伝えられなかった五百旗頭も、
黒沢心という人間を愛してはいても、編集者としてはまだまだ育ててやらなくてはならない存在だと思っていたのだろう。
だが当の心は、「浮気亭主が急にやさしくなるアレ(by壬生)」的な高畑のねぎらいメッセージから、ばっちりエンペラー接触の証拠を見つけ出し、編集部内でも「責められるべきは私です」と謝罪をする。

なんという男前!
高畑の気持ちも五百旗頭の気持ちも編集部の葛藤も、すべて受け止めたうえで、
「ツノ姫の最終回まで、先生と一緒に走らせてもらいます。エンペラーで好きなものを描くのはそれからです」
あいつは泣く、と言った高畑の方がよっぽど泣きそうになってるじゃないか!
心さん、かっけええ!

ま、それはそれとして、やはり今回のハイライトは「五百旗頭さん殻を破る」なわけで、
信頼していた高畑の引き抜き騒動に傷つき、
編集部での(主に安井の)嫌味に傷つき、
とどめにエンペラー見坊の嫌がらせに凍りついた五百旗頭暴走シーン。

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冷静すぎる男・五百旗頭が理性を吹っ飛ばすには、わざわざメガネをはずす必要があるらしい。
五百旗頭のメガネは「理性」なのかwww

さけぶ五百旗頭! 走る五百旗頭! そして意味不明の愛を告白する五百旗頭!
世間では「クールで男前で優しい五百旗頭にオダギリさんぴったり」などと評価されていたが、ファンからすると泣いてわめいて走って感情を爆発させないオダギリには意味がない。
ようやく五百旗頭役にオダギリが配された意味を見た。

一方で、恐ろしく計算され尽くした心情表現の細やかさにも注目して欲しい。
たとえばあの絶叫シーンも、普通なら勢いにまかせて乱暴にメガネはぎとって叫ぶところだろう。
しかし、五百旗頭は違うのだ。
フレームが歪まないように丁寧にメガネをはずし、しかるのちに吠える(笑)

愛を表明した後も、乱れているのは髪くらいで表面上は落ち着いている。
そのくせ、高畑と見坊の問答をききながらその目は、不安そうに、意表をつかれたように、そして嬉しさを隠しきれなかったりと、くるくる内心の変化を見せ付ける。

「お前、(ツノひめの)ファンだったのか」
と高畑にあきれられた五百旗頭が
「‥‥はい」
と答える、その一瞬の「‥‥」の間の表情の移り変わりが絶妙で。
オダギリジョーという役者の凄みは、実はこういう内面の表現にあるのだ。

というわけで実に(オダギリファン的に)オダギリ満載の、満足の回であったー。


さて、「欠如あるいは過剰」という意味でいうなら、この人こそはドラマとしての王道主人公といっていい、中田伯。
親に虐待されたがゆえの、共感能力の欠如、物語があふれ出てもてあますほどの感情と才能。
三蔵山先生とアシスタント仲間のおかげで乗り越えかけた最後のハードルが「女性キャラ」。
母親に虐待され、他人すら理解できない伯にとって「女性」なんて宇宙人や生命兵器の方がマシなくらい理解できない存在だ。

苦しんで苦しんで苦しんで(でも心はモデルにはできないらしいw)、そんな彼の目の前に現れたのが、あの後田アユちゃんだった事に、鳥肌が立った。

他人を受け入れることができなかった伯が、一瞬接触しただけのアユちゃんを受け止められたのは本能的に同じ傷を感じ取ったからなのかも知れない。
守るべき「親」から傷つけられてきたふたりの子供が、マンガに救われたことがものすごい救いだと思う。


新人・黒沢心のナレーションで始まったこのドラマは、小泉→壬生→東江→久慈社長→安井→沼田→編集長ときて、今回五百旗頭の内面を描くに至った。
編集者として理性的すぎた五百旗頭は自分の感情を表明することができるようになり、その五百旗頭に憧れていた心は、「作品のファン」から、「理性的に作品をプレゼンできる」編集者に育った。
今回のこのふたりの対比は、「理想の編集者とは?」というドラマ全体の問いかけに対して、(心にとっての)理想の編集者だった五百旗頭の変化を描くことで、心の成長を示していたと思う。

最終回、バトンは心に戻る。
「理想の編集者とは?」という問いかけに、どんな答えが用意されているのだろう。

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さすが主役回、シャツバリエーションは6パターンあった!

Comment

リセ says... ""
いつもブログがアップされるたびに、いの一番に読ませていただいてはいるのですが、なんせ自宅のパソコンが絶不調でほとんど使い物にならずスマホからのアクセスゆえ、スマホでポチポチと長い文章を綴るのは苦手でなかなかこちらに書き込むことが出来ませんでしたが、今回は五百旗頭回ということで不安定なパソコンからお久しぶりです。

いろいろあってしばらくリアルタイムで見ることができずにいたのですが、今回こそはとリアルタイムで正座状態で見ました。脚本の緻密さ、人物造型の上手さ、そして何よりキャストの演技力の素晴らしさにぐいぐい引き込まれる回でした。オダギリさんについてはもう何をどう言っていいのか、言葉に出来ないクオリティーの高さで(偉そうにすみません)、TVドラマとは思えぬ、映画を観た後のような感動が残りました。特に今回はオダギリさんの演技の声の調子や目の微妙な表情に惹きつけられました。そしてあのじんわりとあふれる涙の美しさにも。

ケンボウの「おもしろいモノも見れましたし」の台詞の後の、戸惑いながらの目の伏せ方。
「ファンだったのか」から「…はい」までの絶妙な間の取り方。「…はい」のトーン。一呼吸置いて流れるBGM。あの一連の流れの見事さに、何回もリピして見てしまいました。おそらく台本には「はい」と書かれているだけなのでしょうに、それをオダギリ氏が演じるとああなるんですね。

roseさんの感想も何回も読んでしまいました。いつも思うのですけど、感想というよりも名論文ですよね。いつもながら、自分では到底言語化できないあのことこのことが言葉になっていて、しかも自分では浅~くしか把握できていなかった流れがナルホドそうだったのかと納得出来たりで、有難いことこの上なしです。
素敵な絵の数々うれしい!と思ったら、矢印までありがとうございます❤ 
最初はハーフアップの時もあったのに後半はずっとシニオン?ですね。ということは常日頃もかなりロングヘアになっているのかなと思うのですが、オダギリさん御自身は長髪もお好きなようですし、次にこざっぱりした役が来るまではロングのままかもしれませんね。

次回で最終回かと思うととっても残念です。でもまあ映画も控えているし、ピッコリーノはまだまだ続きそうだし(子ども向けとは思えぬトーンになってきましたが)、今後もオダギリさんの出演作を楽しみに暮らして参ります。
2016.06.11 22:45 | URL | #- [edit]
rose says... "有難うございます!"
>リセさん
正直な事を告白すると、「重版出来」の感想には全然コメントがないので、内心「長すぎたかな」「オダギリネタ少ないからつまらないかな」などと不安に思ってましたw
こんな長文でも読んで、楽しんでいただけてるとわかって安心しました!

ずっとお忙しそうでしたがリアタイで視聴できたのですねえ!やはり主役回となると気合入りますよね!
ファンにとってこういう「この時ばかりは!」という祭りは必要だと思うのですよ。脳内でドーパミンが出まくって幸せな気持ちで翌日のお仕事にも臨めるというものです。

リセさんが注目し、リピートしまくった部分は私も、そしてオダギリクラスタさんたちのほとんどが共感する部分でしょう。同じシーンのオダギリを見て、同じように感じる方がる、というのが嬉しくてわくわくします。
「矢印」はそんな仲間たちへの密かなメッセージで(笑)

髪型、確かに(中の人の髪が)伸びたからアップドゥに以降したのかもですね! 指摘されるまで気がつきませんでした。個人的にはハーフアップのビジュアルも好きだったのでちょっと残念だなあ。

泣いても笑ってもあと1回。最終回もいっしょに堪能しましょう!
2016.06.12 01:22 | URL | #4SZw2tfw [edit]
リセ says... ""
長すぎるだなんて思ったこともなくて、さらに長いともっと嬉しいくらいです。本当ならオダギリ氏のドラマ見た後は何時間でもいつまででもクラスタさん達と語り合いたいです。というか私の場合は語るべきモノは大して持ち合わせていないので、他の方の感想を何時間でも聞いていたいという願望に襲われます。タイムライン検索の世間様の反応は表記にバリエーションはあるものの言わんとすることは「オダギリカッコイー」一辺倒ですから全然物足りない。ところがroseさんの感想たるや、そうそう! なるほど! わわわ! うんうん! とうなずいたり目ウロコだったりの連続で、誰とも感想を語り合う機会のない私には、読んでいるだけで幸せになれる有難い文章なんです。
ブログメッセージの事ですが、もしかしたら私と同様に、今はもうブログもスマホで読んでいる人が多いのでしょうか。ガラケーの頃はブログ等はパソコンから読んでいたので、読み終えるとすぐにキーボードでメッセージを送ることも出来たのですが、現在ではもうネット全般メールも含めて全てスマホしか使わなくなっていて、140文字のTwitterならともかく、ちゃんと言葉を尽くして書きたいメッセージはキーボードが無い環境ではなかなか書けなくて、という感じになってしまっていました。スマホに繋ぐキーボードも購入したのですがなかなか使いづらくて。や はりちゃんとしたパソコン&キーボードは最強ですね。普段の仕事でのメールややりとりは職場の個人機を使っているので問題ないのですが、いつしか(プライベートパソコンが超不調なこともあり。今回もパソコンのワープロソフト→スマホに転送→このメッセージに貼り付けという情けなさです。パソコンもう使えない状態で(涙)買い換えます!)プライベートは全てスマホ頼みだったことに今回今さらながらに気づいて我ながらびっくりしています。
なかなかこちらにメッセージを書きにこれませんが、私を初めとして多くのかたがroseさんの感想&イラストを楽しみに待ち望み、興奮しながら拝読していることと思います。これからも御世話になります。どうぞ末永くよろしくお願いします♡
2016.06.12 14:14 | URL | #- [edit]
rose says... "おお、なるほど!"
>リセさん
自分はスマホは外出先でメールやツイッターをチェックするくらいで、ほとんど活用していないものですから、ご指摘にちょっとびっくりしました。
いや、そういえば最近の若い方たちはパソコンの使い方が分からない、みたいなことをきいた覚えが‥‥。

そうなのか、スマホで書き込みは難しいですものねえ。
そんな中、苦労をされてこうしてコメントくださったリセさんには感謝してもしきれません。

感想は、自己満足でもありますが、それ以上にリセさんがおっしゃるように「自分はこう思った」と投げかけることで、誰かから「自分はこう思う」とか「そうだよね!」とか、そういうやりとりを欲している部分があります。
なので反応をいただけるツイッターの方が良いのかなと思っていましたが、よく考えるとどうしてもこんな長文になっちゃうし(笑)、まとめるのに時間がかかって、しかも流れてしまうツイッターでは意味がないので、やはりブログ感想頑張ろうと思いました。

励まし、どうもありがとうございます。これからも心の中で語り明かしましょうね!
2016.06.13 01:18 | URL | #4SZw2tfw [edit]

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